A 大多数の会社については、会社法及び整備法の施行に伴って新たに登記の申請をしていただく必要はありません
(整備法第42条・第74条・第113条)。また、現在お持ちの印鑑カードや商業登記に基づく電子認証制度
により発行された電子証明書も、引き続き使用することができます。
ただし、会社法の施行日から6か月以内に登記を申請しなければならないケースがありますので、該当する会社の方は十分注意してください。
※会社法の施行に伴い必要な登記の大部分は,登記官が職権で行います。
A 整備法の施行により、有限会社という会社類型はなくなり、施行日に現にある有限会社は、株式会社として存続す
ることになります(この会社を「特例有限会社」といいます。整備法第2条・第3条)が、このために特段登記の申請をする必要はありません。ただし、会社法の施行日から6か月以内に登記を申請しなければならないケースがありますので、該当する会社の方は十分注意してください。
また、特例有限会社には、商号中に「有限会社」という文字を含まなければならないなどのいくつかの会社法の特則や必要な経過措置も定められています。
なお,整備法の規定により、「有限会社の定款」、「社員」、「持分」及び「出資1口」は、それぞれ「株式会社の定款」、「株主」、「株式」及び「1株」とされ、有限会社の資本の総額を出資1口の金額で除した数が株式会社の発行可能株式総数及び発行済株式の総数となりますが(整備法第2条)、必要な登記は、登記官が職権で行うこととしています(整備法第136条第16項)。
※発行可能株式総数及び発行済株式の総数の例
施行日前 資本の総額(3百万円)、出資1口の金額(1千円)
施行日後 資本金の額(3百万円)、発行可能株式総数(3千株)、発行済株式の総数(3千株)
A 会社法及び整備法の施行により、支店所在地の登記所には、索引的な登記事項である商号、本店及び支店所在地の みを登記することとされ(会社法第930条第2項)、施行日に現にある支店の登記所の登記簿についても、登記 事項は同様となります(整備法第42条第2項・第74条第1項・第113条第1項)。
支店所在地の登記所に登記されている支店の登記事項を商号、本店及び支店所在地のみとする登記は、登記官が職
権で行うこととしています。
A 株式会社には、1人以上の取締役を置けば足りることになります(会社法第326条第1項)。なお、取締役会
設置会社においては、取締役は3人以上でなければならないとされています(同法第331条第4項)。
A 会社法の施行により、取締役の任期は、原則として2年となりますが、株式の譲渡制限に関する定めを設けて
い る株式会社については、定款で定めることにより最長10年まで伸ばすことができるようになります(会社法
第332条第2項)。
また、監査役の任期は、原則として4年となりますが、株式の譲渡制限に関する定めを設けている株式会社につ いては、定款で定めることにより最長10年まで伸ばすことができるようになります(会社法第336条第2
項)。
A 会社法の施行日後も、整備法による改正後の商業登記法の規定により同一場所における同一商号の登記は禁止さ
れるので(整備法による改正後の商業登記法第27条)、同一本店所在地に同一の商号の会社があるかどうかを調査する必要はあります。なお、会社法施行日後も、引き続き、商号調査簿は登記所において無料で閲覧できます。
A 発起設立や募集株式の発行による変更の登記の申請の場合には、払込みを取り扱った銀行等の払込金の保管に関
する証明書に限らず、「払込みがあったことを証する書面」として、代表者が作成した払込みの事実を証明する書面に払込みがされている預金通帳の写し等を合わせてとじたものを利用することができます。
A 「確認会社」は、最低資本金規制の特例措置として資本の額が1円でも会社の設立が許容されていますが、設立の
日から5年以内に1000万円(株式会社の場合。有限会社の場合には300万円)に増資する必要があり、その登記がされないと解散することを定款に定め、その旨を解散の事由として登記簿に記録することとされています。
会社法では、最低資本金規制が廃止され、株式会社であっても資本金1円で設立することが可能になります。そして、確認会社についても、増資をする必要はなく、上記の定款の定めを取締役会等の決議で変更し、解散の事由の登記を抹消する登記申請をすることにより、会社を存続させることができることとなります(整備法第448条)。
※「確認会社」とは、創業者が中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律(平成11年法律第18号)に規
定する創業者に該当することについて、経済産業大臣の確認を受け、確認の日から2か月を経過するまでに設立する株式会社又は有限会社です。