福祉型の信託と相続財産の承継業務
司法書士が行うことができる相続財産の承継業務は、
不動産や預貯金、株式などに関する相続による名義変更、解約手続き、生命保険金・給付金請求
となりますが、弁護士法第72条との関係から、事件性(紛争性)がないものに限られます。
司法書士は、司法書士法第29条、及び司法書士法施行規則第31条の規定により家庭裁判所により
選任される相続財産管理人、不在財産管理人、遺言執行業務、31条第1項第1号において、
「当事者その他関係人の依頼」による(=委任契約に基づく)財産管理業務につき明記依頼による
財産管理業務を行うことができます。
この様な他人の事業の経営や他人の財産の管理若しくは処分を行う業務をすることができる旨
を、法令で規定されている職業は、司法書士と弁護士のみとなっております。
そのような相続財産の承継業務(財産管理の処分業務)は司法書士法施行細則31条業務と呼ば
れているものです。
福祉型の信託のスキームを考えるときに、この財産管理業務を視野に入れた信託を構築すれば
安心した財産管理、成年後見制度の利用等、幅広いお客様のニーズに応えられることとなります。
信託とは?何ぞやとお考えの方は一度、当事務所をお尋ねください。相続税対策にこの信託が
活かされる場合があるかもしれませんね?
第1 民事信託について
1 民事信託(家族信託)とは?
(1) 新信託法(平成18年法律第108号)では、従前からのいわゆる信託銀行が営利を目的として業として行っている「営業信託」(商事信託)の対語として、受託者が営利を目的とせずかつ反復継続しない信託の引き受けとしての民事信託を念頭に置いて改正されました。なお、一般社団法人信託協会ではこの民事信託を「家族信託」という用語を使っています。
民事信託の中で、
①福祉型の信託(高齢者・障害者等の生活支援のための信託)
②高齢者や障害者の財産管理のための信託
③自分自身、配偶者その他の親族の生活保障に係る信託
④親亡き後の障害者などケアを要する者の扶養のための信託
を特に家族のための信託の中で福祉型信託と呼ばれています。信託銀行等では委託者の意向や受益者の状況を細かく把握できず、きめ細やかな、柔軟な対応ができず硬直的になっていると考えられているところから、司法書士等の活躍が期待されているのであり、当事務所は、いち早く、お客様の要望を取り入れることをめざし、相談業務に当たっています。
(2)信託とは、委託者が、自分が有する一定の財産を別扱いとして、信頼できる受託者に託して名義を移し、受託者において、その財産を一定の目的(信託の目的)に従って管理活用処分し、その中で託された信託財産やその運用益を受益者に給付しあるいは財産そのものを引き渡し、その目的を達成する法制度です。
受益者連続型信託とは?
例えば、本人亡き後の配偶者の生活保障において、第一次受益者を本人たる夫としその死亡により第2次受益者の妻が受益権を取得し、第2次受益者の死亡により第 3 次受益者たる子が受益権を取得するというように、受益者の死亡により順次他の者が受益権を所得する旨の定めがある信託を後継ぎ遺贈型の受益者連続信託といいます。信託法第91条前段の規定により、二次以降の信託受益権は相続財産とはならないので、家督財産に対する遺留分請求を回避できることになります。
各種スキームを考え、皆様の要望にお応えできる事務所として、信託銀行で実施していない民事信託の相談に是非お越しください。相続がらみのスキームもあります。
内容証明とは、郵便物の差出日付、差出人、宛先、文書の内容を郵便局が謄本により証明する制
度です。 つまり、「この手紙をいつ、誰に、この内容であなたが出しました」ということを郵便
局が証明するものでありますが、法的な効力はありません。私たちは、お手紙の一種として考え
ていますが、日付・差出人・宛先・文書内容を第三者である郵便局が証明したことにより、法律
で定められている賃貸借の契約解除や債権回収、債務消滅の援用の手続き上は必要となります。
民法第153条(催告) 催告は、6箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、
民事調停法 若しくは家事審判法 による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手
続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。 と規定さ
れているように、内容証明を送ってから6か月以内に裁判上の請求、支払督促の申立て、和解
の申立て、民事調停法 若しくは家事審判法 による調停の申立て等の手続をしなければ、有効
な催告とはいえなくなり、時効の中断効力は生じなくなります。
よって、本条では、催告の方法は規定されていませんが、一般的には、催告をおこなった証拠
を残すため、一般書留の内容証明郵便が使用されます。
被告事件の貸金返還請求事件の依頼があった。原告事件の受託が多い中、被告事件の受託である。元々被告事件を得意とする環境の中にいたので、慣れているといえばウソではない。
しかしながら、親族間の貸金は複雑な場合が多いので神経を使う。依頼者に説教をするなら、「もう二度と親族間でのお金の貸し借りはやめておいたほうがいいですよ」と言いたい。
裁判所が遠方であったので、被告が近くの裁判所での裁判にはならないのですか?というので、移送申し立てをするが、裁判所は管轄違いとかよっぽどのことがない限り、移送はしない。結果、却下である。
台風接近の中、列車の旅となった。法廷において、準備手続きに回付すると宣言されて、ラウンドテーブルに乗っかるのかなぁかと思ったが、いきなり、ラウンドテーブルでの裁判である。準備手続きでもないのに、これって、裁判手続き違法?では?と昔、教わったことがある。
しくしくと、一方的に裁判所は手続きを進める。事件がたくさんあるから、一つの事件に時間をかけられないのであろうと予測がつく。
和解勧試となった。条項の精査に移るが、結果的には満額支払う必要がないということであった。裁判の報酬には、着手金、成功報酬と報酬の種類があるが、司法書士はなかなか、この報酬をいただくのがどのタイミングがいいのか、悩ましいと感じる。委任を受けるときに契約書を取り交わし、読み上げて、説明をするのであるが、裁判に負けたときは、この成功報酬はいただく根拠がないので、着手金のみとなるが、勝訴した場合は、本人が受けた利益の10%~20%となり、得た利益が大きいと、この報酬も当然に高くなってくる。
それでも、当事務所は、半額ぐらいに抑えての成功報酬、若しくは本人支援の場合は取らないことが多い。お客様の裁判での苦労を考えると、なかなか報酬の請求ができないのである。
そんな中、一番信頼関係が損なわれるのは、当初から無理難題を押し付けてきて、訴訟を提起するという方に見られる闘争心むき出しの対応を私たちに迫られることである。挙句の果ては、契約を反故にし、契約内容の履行をしないという場面に出くわす。契約書には印鑑を押さなかったからと言って、契約が成立していないわけではないのである。諾成契約と言って、その後の依頼者の行動を見れば、口頭での契約も有効に成立しているのである。
このような事件に遭遇すると、せっかく、人のために役に立ちたいと一生懸命に考えてあげることをしたくなくなるので、いけない。難しい案件を考えてあげた結果、すがすがしい気分になったのが台無しになる。いけない、いけない。
<債権差押え命令、差押え債権取立訴訟、債権者不確知供託、債権仮差押命令>
大家Aが所有していたアパートが相続登記により、子供らB、Cの共有となっていたところ、銀行ローンの返済が滞り、任意競売申立てにより競売で所有権を取得した株式会社甲は、大家A(相続によりB、C)に対する貸付債権の確定した勝訴判決(債務名義)に基づき、アパートに居住している借家人X、Yに対し、大家A(相続によりB、C)に対する賃料債権の平成27年8月分、9月分、10月分、11月分を差し押さえてきました。
借家人Xは、大家Aとの定期賃貸借契約の締結により、平成27年4月から9月分までの賃料を前納しており、又平成10月分と11月分の賃料は、借家人Yと一緒に債権者不確知の供託をしております。(実際、誰に支払って良いのか、分からなかったので、平成10月分と11月分は債権者不確知の供託をしました。)
そのような事情があったため、借家人X、Yは差押えが来ても支払わないでいたところ、差押債権取立訴訟が提起されました。
5月29日、借家人Yは、第一期日に裁判所に出頭し、供託したことを言わずに、「平成27年8月分、9月分、10月分、11月分の賃料とその遅延損害金を支払います」と、法廷でしゃべってしまいました。裁判長が何回も「本当に認めるんですね」と念を押されたとのことです。すると、判決の日が言い渡され、6月12日となりました。判決の日には来なくていいとも言われました。YはXの母親なのです。
借家人Xは、裁判長が「平成27年8月分、9月分、10月分、11月分の賃料とその遅延損害金の支払いを認めますか?」と確認を求めてきたときに、借家人Xは、口ごもりながら、『賃料はもう払ってます!』と言ったそうです。すると、裁判長が裁判長席から降りてきて(通常はこのようなことはないが)、「本当に払っているんですね」と、再確認を求めてきたので、『定期賃貸借契約の前払いで6か月分支払ってます。それに、10月、11月分は供託しています!』と、やっとの思いでしゃべったとのことです。
すると、書記官が口頭弁論終了後、「専門家に相談して、証拠があるなら、きちんと対応した方がいいですよ」と、アドバイスをしてくれたそうです。
そこで、いろいろ、相談できるところを探し回って、裁判もベテランで報酬の一番安い当事務所を訪れたわけですが、問題点がかなり、ありました。
まず、平成10月分と11月分の賃料について、借家人X、Yは供託をしておりますが、その供託金取戻請求について、株式会社甲が仮差押えをかけているということです。
借家人Yについて、弁論が終結しており、相談に見えた日の翌日が判決言渡しとあっては、10月、11月分を供託していることを主張できないし、時期に遅れた攻撃防御方法となるため、控訴を視野に入れなさいと言うしかなかった。借家人Yは敗訴判決により、賃料全額を支払うこととなると、損害金の金額が大きくなるため、やはり、10月、11月分は、供託金から取ってもらう方がいいとなった。
相手の株式会社甲は、借家人Yに対する勝訴判決の債務名義をもって、再度、供託金の本差押えをしなければならないため、法廷から出てきたときに、捨てぜりふのように『なんで、供託なんかしたんだよー』と言ったとのことである。
相手の株式会社甲は、勝訴判決により、借家人Yが供託した10月、11月分を含んだ賃料全額を請求するのであれば、供託金の仮差押えは取り下げてもらうこととなるが、それを主張する場がないところから、借家人Yは勝訴判決書に記載された金額のうち、支払うべき賃料のみ(10月、11月分を除いた)を支払うことで頑張るしかなさそうである。
一方、借家人Xは、
第1 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の被告Xに対する請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする
第2 請求の原因に対する答弁
1 請求原因1項中、賃貸借契約締結の事実は否認する。被告Xと大家Aとの契約は定期賃貸借契約であり、被告Xは、すでに、平成27年4月から9月分の賃料を同年4月7日に支払い済みである。
2 請求原因2項中、平成27年10月から11月分の賃料の未払いについては否認ないし争う。同賃料については、横浜地方法務局平成27年度金第1000号、供託金24万円として供託済みである。
第3 被告Xの主張
1 被告Xと大家Aの平成27年4月から9月分の定期賃貸借契約の賃料は、金78万円である。
2 被告Xは、大家Aに対して、平成27年4月7日金78万円を支払った。(乙第1号証、同号証の2)
3 被告Xは、平成27年10月から11月分の賃料金24万円(横浜地方法務局平成27年度金第1000号)は供託により支払済みである。(乙第2号証)
4 よって、原告の請求はいずれも棄却されるべきである。
という答弁書を提出すれば、借家人Xの勝訴判決は間違いないであろう。その場合、相手方甲は供託金をどのように払戻請求するのであろうか。もともとの大家Xに対する債務名義をもって、本差押えをかけて取り立てるのであろうか。
離婚訴訟と言っても、すぐに裁判が起こせるのではない。
離婚について家事調停で解決ができない場合には、離婚訴訟
を起こすことになるのです。人事訴訟の代表的なものが
離婚訴訟です。
(Court of Japanより)
この裁判の上級裁判所はどこでしょうか?
それは、高等裁判所になります。
一般の三審制と若干の違いがありますので、
控訴する場合の管轄裁判所は注意を要します。
離婚の請求が認められる場合(離婚原因といいます)は、
民法770条第1項に規定があります。
配偶者に不貞な行為があったとき
配偶者から悪意で遺棄されたとき
配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき
その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
が離婚原因です。
ただし、民法770条2項では、こうした離婚原因が存在する場合
であっても、裁判所が、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と
認めるときは、離婚の請求を棄却することができることを定めています。
離婚原因がないと離婚が認められないことになります。
不貞行為のない多くの場合、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」
があると評価されるか、ないと評価されるかによって、結論が分かれる
ことになります。
家庭裁判所の判決に不服があれば高等裁判所(神奈川県内の家庭裁判所
で第1審がある場合には、東京高等裁判所になります)に対して控訴するこ
とができ、等裁判所の判決に不服があれば最高裁判所に上告できることに
なっています。
しかし、高裁判所で主張できる理由は憲法違反などに限られていて、離婚に
関して言えばそういった理由が見つかることはほとんどないといっていいでしょう。
遺産分割調停についての研修会に参加しました。
現役の裁判所からの講演でした。
感想としては、私たち司法書士が作成してさしあげる
遺産分割協議書の方がより、皆様のお声が反映される
ということを実感しました。
相続対策といっても、裁判所はお国の機関です。
脱税を認めてくれるわけでも、協力してくれるわけでも
ありません。
死後に残された遺産を争うなんて先祖が考えたことが
あるのでしようか?
やさしくお話をお聞きし、争わない遺産分割協議書をお
作りいただくことをモットーに今日も皆様のために働き
たいと思います。