· 

令和5年4月1日民法改正

司法書士 戸塚・栄・泉区

相続の放棄をした者による相続財産の管理制度が改正になりました。

 

Q 相続の放棄をした者による相続財産の管理に関して、どのような改正をしているのでしょうか(新民法9401 項関係)。

1 問題の所在

現行民法においては、相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始める,ことができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならないとされています(現行民法9401 項)。

 

この管理継続義務は、次順位の相続人が相続財産の管理を始めることができるまでの管理についてのものである。 そのため、法定相続人の全員が相続しない場合に、誰が管理継続義務を負うの放棄をし、次順位の相続人が存在かは、必ずしも明らかではない。 また、相続の放棄をした者が相続財産を現に占有していない場合にまで管理継続義務を負うかどうかや、その義務の内容及び終期も明らかではないため、相続の放棄をしたにもかかわらず、過剰な負担を強いられるケースがあるとの指摘があります。

2 改正内容

新民法9401 項では、相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は新民法9521 項の相続財産清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるとの同一の注意をもって、その財産を保存しなければならないものとされました。

これにより、相続の放棄をした者が同項の義務を負うのは、放棄の申述時に相続財産に属する財産を現に占有している場合に限られ、被相続人の占有を観念的にのみ承継している場合には、同項の義務を負わないこと、②同項の義務の内容は、現に占有している財産の保存にとどまり、それを超えた管理義務を負うわけではないこと、同項の義務は、相続人や新民法9521 項の相続財産清算人に対して当該財産を引き渡すことによって終了することが明確にされました。(by:Q&A令和3年改正民法・改正不登法・相続土地国庫帰属法)