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数次相続の今日

 平成20年に父甲の遺産について、相続人である母乙、子A、B間で遺産分割協議が行われ、

不動産については母乙が持分100分の99、子Aが100分の1を相続することに決定しました。

しかし、遺産分割協議書は原本ではなく、印鑑証明書の添付もありませんし、かつ、コピーしかありません。

相続登記をしないうちに、母乙が平成26年に死亡しました。

母乙の持分100分の99で相続した不動産について、子A、B間で遺産分割協議を行なった結果、子Aが、

持分100分の99を相続することになりました。

この相続登記申請はどのようにしたらよいのでしょうか?

 

 という案件にぶつかるときがあります。

 司法書士は、相続税の計算はできませんが、登録免許税の計算はできます。依頼者のために

登録免許税をできるだけ安くしてあげることに、苦心した結果、父からの第一次相続人が母乙単独で

取得しているのであれば、権利変動の過程が比較的明らかであって、登記原因の記載も複雑となる

おそれはないので、第二次相続人が仮に2人の共有であったとしても、1件の登記申請が可能であると

いう結論に達します。登記原因としては、『平成20年 月 日乙相続、平成26年 月 日相続』

という数次相続について、1件の申請による登記をすることが認められるのです(昭和30年12

月16日民甲第2670号民事局長通達)。

 現在では、

 

(1)相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置

 個人が相続(相続人に対する遺贈も含みます。)により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成30年4月1日から令和7年(2025年)3月31日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さないこととされました。 

 

免税を受けるには、申請書への法令の条項の記載が必要です

  登録免許税の免税措置の適用を受けるためには、免税の根拠となる法令の条項を申請書に記載する必要があります。 相続登記の登録免許税の免税措置については、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と申請書に記載してください(記載がない場合は、免税措置は受けられません。)。

 

 ところで、相続税に関しては税理士にお願いをするわけですが、司法書士として、平成20年父甲

死亡時に行われた有効な遺産分割協議書例えば、相続の申告をしたが、相続登記はしなかった場合)

が存在していても、その遺産分割協議書がコピーの場合には、登記に使用できないことになります。

 しかしながら、そのコピーが残っている場合、相続の確定申告をしていることが考えられることから、

その分割協議の結果をないがしろにすることはできません。

 登記では使用できない遺産分割協議書をどのような法的効果を持たせて、登記申請ができるかですが、

平成20年の遺産分割協議書を現在の相続人全員が実印、印鑑証明書を添付して証明する方法があります。

 そこで、登記手続き上、有効になった平成20年の遺産分割協議書と今般の平成26年の協議書で

1件の登記申請(数次相続)をすれば、登記免許税が軽減されることになります。

 ただし、司法書士として、気をつけなければならないのは、父の相続に際して、母乙が相続登記をし

ていれば、相続税が発生しなかったのではないかと考えられることです。

 司法書士は、税の専門家でないので、登録免許税の軽減ばかりに注意を喚起し、父甲の相続登記を

今般の平成26年の遺産分割協議書と平成20年の遺産分割協議書の双方を添付して、最終相続人

子Aが単独で相続するという1件の登記申請をした場合、税務署が相続税をどのように掛けてくるか、

税理士に相談された方がよいと思われる事案です。

 登録免許税を節約したところ、相続税の方が高くなってしまったのでは本末転倒です。

 亡母乙名義に一度相続登記を入れて、相続税を回避するという手法を取る場合があります。

税理士に計算を行ってもらって、1件の登記申請でも課税されないようであれば、遺産分割協議書は、

平成20年の内容を現在の相続人で証明し、今般の平成26年の遺産分割協議書(協議者は同一相続人)

を双方添付して、数次相続の登記申請をする方法が考えられます。

 

 戸塚区の続登記は、ベテランの当事務所にお越しいただきますと、懇切丁寧にご説明申し上げます。