被告事件の貸金返還請求事件の依頼があった。原告事件の受託が多い中、被告事件の受託である。元々被告事件を得意とする環境の中にいたので、慣れているといえばウソではない。
しかしながら、親族間の貸金は複雑な場合が多いので神経を使う。依頼者に説教をするなら、「もう二度と親族間でのお金の貸し借りはやめておいたほうがいいですよ」と言いたい。
裁判所が遠方であったので、被告が近くの裁判所での裁判にはならないのですか?というので、移送申し立てをするが、裁判所は管轄違いとかよっぽどのことがない限り、移送はしない。結果、却下である。
台風接近の中、列車の旅となった。法廷において、準備手続きに回付すると宣言されて、ラウンドテーブルに乗っかるのかなぁかと思ったが、いきなり、ラウンドテーブルでの裁判である。準備手続きでもないのに、これって、裁判手続き違法?では?と昔、教わったことがある。
しくしくと、一方的に裁判所は手続きを進める。事件がたくさんあるから、一つの事件に時間をかけられないのであろうと予測がつく。
和解勧試となった。条項の精査に移るが、結果的には満額支払う必要がないということであった。裁判の報酬には、着手金、成功報酬と報酬の種類があるが、司法書士はなかなか、この報酬をいただくのがどのタイミングがいいのか、悩ましいと感じる。委任を受けるときに契約書を取り交わし、読み上げて、説明をするのであるが、裁判に負けたときは、この成功報酬はいただく根拠がないので、着手金のみとなるが、勝訴した場合は、本人が受けた利益の10%~20%となり、得た利益が大きいと、この報酬も当然に高くなってくる。
それでも、当事務所は、半額ぐらいに抑えての成功報酬、若しくは本人支援の場合は取らないことが多い。お客様の裁判での苦労を考えると、なかなか報酬の請求ができないのである。
そんな中、一番信頼関係が損なわれるのは、当初から無理難題を押し付けてきて、訴訟を提起するという方に見られる闘争心むき出しの対応を私たちに迫られることである。挙句の果ては、契約を反故にし、契約内容の履行をしないという場面に出くわす。契約書には印鑑を押さなかったからと言って、契約が成立していないわけではないのである。諾成契約と言って、その後の依頼者の行動を見れば、口頭での契約も有効に成立しているのである。
このような事件に遭遇すると、せっかく、人のために役に立ちたいと一生懸命に考えてあげることをしたくなくなるので、いけない。難しい案件を考えてあげた結果、すがすがしい気分になったのが台無しになる。いけない、いけない。
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