民事信託(家族信託)

第1 民事信託について

 1 民事信託(家族信託)とは?

 (1) 新信託法(平成18年法律第108号)では、従前からのいわゆる信託銀行が営利を目的として業として行っている「営業信託」(商事信託)の対語として、受託者が営利を目的とせずかつ反復継続しない信託の引き受けとしての民事信託を念頭に置いて改正されました。なお、一般社団法人信託協会ではこの民事信託を「家族信託」という用語を使っています。

 民事信託の中で、

 ①福祉型の信託高齢者・障害者等の生活支援のための信託)

 ②高齢者や障害者の財産管理のための信託

 ③自分自身、配偶者その他の親族の生活保障に係る信託

 ④親亡き後の障害者などケアを要する者の扶養のための信託

を特に家族のための信託の中で福祉型信託と呼ばれています。信託銀行等では委託者の意向や受益者の状況を細かく把握できず、きめ細やかな、柔軟な対応ができず硬直的になっていると考えられているところから、司法書士等の活躍が期待されているのであり、当事務所は、いち早く、お客様の要望を取り入れることをめざし、相談業務に当たっています。

 (2)信託とは、委託者が、自分が有する一定の財産を別扱いとして、信頼できる受託者に託して名義を移し、受託者において、その財産を一定の目的(信託の目的)に従って管理活用処分し、その中で託された信託財産やその運用益を受益者に給付しあるいは財産そのものを引き渡し、その目的を達成する法制度です。